この度は、大切なご実家やご親族の不動産を相続され、誠におめでとうございます。しかし、相続は喜びだけでなく、「この家を今後どうすべきか」という大きな課題をもたらします。特に大阪府枚方市は、京阪本線やJR学研都市線が走り、大阪・京都へのアクセスが良い人気の通勤圏であり、不動産の資産価値が安定しているエリアです。だからこそ、今、この貴重な資産をどのように活用するか、あるいは手放すかについて、「早めの判断」が重要となります。
本記事では、枚方市で家を相続された方が、売却という選択肢を選んだ際に最大限のメリットを得られるよう、空き家を放置するリスクから、税制上の特例、そして枚方市で高く売るための具体的な戦略までを、詳細に解説します。
相続不動産を取り巻く現状と「放置リスク」の深刻さ

相続した家が空き家となった場合、そのままにしておくと、時間とともに管理の負担や金銭的なリスクが増大します。
「相続登記の義務化」と「過料」のリスク
2023年4月から「相続登記の義務化」が始まりました。相続で引き継いだ家を放置し、登記せずにいると、過料(罰金)の対象になる可能性があるため、名義変更の手続きは必須です。
空き家が招く固定資産税の大幅増額
居住用の建物が建っている土地は、「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。しかし、建物が老朽化し、行政によって「倒壊の危険がある」と判断されると、この軽減措置が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。
資産価値の急速な下落と維持費の負担
空き家は放置すればするほど建物の劣化が進み、将来的な売却価格が大きく下がります。特に木造住宅は築30年を超えると、建物評価がほぼゼロになるケースも珍しくありません。また、空き家を維持するだけでも、年に数回の清掃や草刈りといった管理を業者に頼むと、年間5万円から10万円の費用がかかり、固定資産税と合わせると年間10万円から20万円の支出となり得ます。雑草や害虫、不法投棄など、近隣トラブルや行政指導につながる問題が発生する可能性もあります。
売却がもたらす最大のメリットと公平な資産整理

相続した家を売却することは、単に現金化するだけでなく、将来にわたる不安や負担から解放されるという大きなメリットをもたらします。
固定資産税・維持費の負担からの解放
売却の最大のメリットは、毎年の固定資産税や管理費用といった維持費の負担をゼロにできることです。管理を続ける場合、費用がかさむだけでなく、建物の劣化によって保険や修繕費が増加するリスクも避けられません。早めの売却は、相続人の家計にとって非常に優しい選択肢となることが多いです。
相続人同士のトラブル回避と換価処分
複数の相続人がいる場合、不動産をそのままの形で共有名義にすると、「誰が管理するか」「固定資産税を誰が払うか」といった点で、将来的にトラブルに発展するケースが少なくありません。不動産は金銭に比べて正確な価値把握が難しく、不公平感が残りやすい財産です。
しかし、家を売却して現金化(換価処分)すれば、その代金を相続分に応じてスムーズに分割できるため、関係がこじれる前に資産整理を完了でき、公平な遺産分割につながります。
最大の節税チャンス!「空き家特例」と「3年10ヶ月ルール」

相続した不動産を売却する最大の利点は、税制上の特例を利用できる期間が定められていることです。特に「相続開始日から10ヶ月経過以降~3年10ヶ月以内」の売却は、税金(譲渡所得税・相続税)の支払額を大幅に減らせるベストタイミングとなります。
被相続人居住用財産の譲渡所得特別控除(3,000万円控除)
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋またはその敷地等を、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。この特例は、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例と呼ばれます。
この特例の適用期間は平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売ることが必要です。
特例の適用要件(主なもの)
特例の対象となる「被相続人居住用家屋」やその敷地等には、以下の厳しい要件が定められています。
譲渡代金に関する要件として、売却代金が1億円以下であることが必要です。
また、「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるものをいいます。
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昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
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区分所有建物登記がされている建物でないこと(マンションは対象外)。
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相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
売却する際は、以下のいずれかの売却方法で、かつ所定の要件を満たすことが必要です。
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家屋をそのまま売却する場合:相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付け、または居住の用に供されていないこと。かつ、譲渡の時に一定の耐震基準を満たしていること。
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家屋を取り壊して土地を売却する場合:相続の時から取壊し等の時まで事業用、貸付け、または居住の用に供されていないこと。かつ、取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。
この特例の適用を受けるためには、譲渡所得の内訳書、登記事項証明書等に加え、売却資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」を確定申告書に添えて提出する必要があります。
なお、令和6年1月1日以後に行う譲渡で、相続人の数が3人以上である場合は、控除額が2,000万円までとなります。
譲渡所得税を減らす「取得費加算の特例」(3年10ヶ月ルール)
家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が発生します。この税金を節約するために活用したいのが、「相続税の取得費加算の特例」です。
この特例は、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日(つまり相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内)に売却した場合に適用されます。
この特例が適用されると、納税した相続税のうち一定金額を、売却益の計算上の「取得費」に加算できるため、結果的に譲渡所得が減り、支払う所得税・住民税の負担が減少します。
相続税を減らす「小規模宅地等の特例」(10ヶ月待機ルール)
「小規模宅地等の特例」は、相続税の課税価格を減らすための特例です。もし、亡くなった方が居住していた家屋(宅地等)を相続した場合、この特例を使うと、相続した宅地等の相続税課税対象額を最大で80%減額できる可能性があります。
この特例を受けるための要件の一つに、被相続人の配偶者以外の場合、「相続税の申告期限まで土地を保有していること(相続から10ヶ月)」が含まれます。
したがって、相続税の節税を優先し、この特例を活用したい場合は、相続開始から最低10ヶ月間は売却せずに保有し、相続税の申告を完了させる必要があります。
枚方市で高く売るための「成功戦略」と不動産会社選び
不動産売却では、どの不動産会社に依頼するかで、最終的な手取り額が数百万円変わることも珍しくありません。枚方市の地域特性を活かし、高く売るための具体的な戦略が必要です。
枚方市の売却相場と市場動向(2025年最新)
枚方市は大阪・京都へのアクセスが良く、通勤圏として人気が安定しています。特に樟葉駅や枚方市駅周辺では再開発が進行中であり、資産価値の維持が期待できます。
2025年9月時点の市場動向によると、一戸建ては成約件数と成約単価が共に上昇しており、積極的に取引されている状況にあるため、良い条件で売却できる可能性があります。
エリア別の参考売却相場(過去1年間の成約事例に基づく2025年版)は以下の通りです。
| エリア | マンション(㎡単価) | 戸建(平均価格) |
|---|---|---|
| 枚方市駅周辺 | 約45〜55万円/㎡ | 約3,800〜4,800万円 |
| 樟葉駅周辺 | 約50〜60万円/㎡ | 約4,500〜5,500万円 |
| 長尾・藤阪エリア | 約35〜45万円/㎡ | 約2,800〜3,800万円 |
| 牧野駅周辺 | 約40〜50万円/㎡ | 約3,200〜4,200万円 |
高く売るための3つの戦略ポイント
1. 複数の不動産会社に査定を依頼する
同じ物件でも、不動産会社によって査定額が50万円から300万円変わることもあります。枚方市エリアで高く売るためには、複数の会社に査定を依頼し、比較検討することが不可欠です。
2. 売却のベストな「時期」を見極める
枚方市でも全国的な傾向と同様に、不動産の需要が高まる時期が存在します。転勤や入学シーズンにあたる3月〜4月、そして秋の住宅需要期である9月〜10月前に成約件数が増加する傾向があります。
3. 魅力的な販売戦略と内覧時の工夫
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写真撮影の徹底
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ホームステージングの活用
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清掃の徹底
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ネット露出の強化
まとめ:枚方市の相続不動産は「早めの決断」が肝心
枚方市は、大阪や京都へのアクセスが良い人気のエリアであり、戦略的な売却活動によって高い成約価格が期待できます。しかし、相続した家を放置することは、固定資産税の増額や建物の劣化、そして近隣トラブルといった、多くのリスクを伴います。
特に、相続不動産を売却する上では、「空き家3,000万円控除」や「取得費加算の特例」など、税制優遇を活用できる期限(3年10ヶ月以内)が存在します。これらの特例を利用することで、支払う税金を大幅に減らすことが可能です。
まずは、売却か賃貸かを含めて、今のうちにどうするかを決めることが大切です。もし、売却を決断されたのであれば、まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、枚方市の最新の市場相場を把握することから始めましょう。
相続不動産の売却には、遺産分割協議や相続登記の完了、共有者全員の同意など、通常の売却とは異なる専門的な手続きが必要です。スムーズに手続きを進めるためには、司法書士や税理士などと連携している、相続不動産の売却が得意な不動産会社に相談することが重要です。
大切なご家族の財産を最も良い形で次の世代へと繋ぐため、今こそ行動を起こしましょう。




