枚方市の空き家市場の現状
近年、枚方市では空き家の増加が社会的な課題となっています。特に相続や高齢化により住まなくなった住宅がそのまま放置されるケースが増加しており、市のデータによると空き家率は約13%に達しています。とはいえ、枚方市は大阪と京都のちょうど中間に位置し、京阪本線・JR学研都市線などの鉄道アクセスが良好なため、一定の需要が保たれている地域でもあります。
特に、樟葉駅・枚方市駅・長尾駅・津田駅周辺のエリアは「中古住宅」「再建築用地」として人気が高く、利便性の高さや学区・生活施設の充実が高評価を得ています。一方で、郊外部や老朽化が進んだ建物は、買い手がつきにくく売却価格が下がる傾向があります。
このように「エリアによって需要が二極化」しているのが枚方市の特徴です。そのため、空き家を少しでも高く売るためには、まず“どのエリアにどんな需要があるのか”を正確に理解し、それに合わせた戦略を立てることが重要です。
戦略①:需要が高い「エリア・用途」を把握する

枚方市内で需要が高い人気エリア
まず、空き家を売却するうえで押さえておきたいのが「どの地域が人気か」です。枚方市の中でも特に人気が高いのは以下のエリアです。
- 樟葉エリア:京阪本線の特急停車駅で、大阪・京都の両方面へアクセス良好。商業施設「くずはモール」や教育施設が充実し、ファミリー層の定住ニーズが高い。
- 枚方市駅エリア:京阪沿線の中心部で、行政・医療・商業の利便性が高い。駅徒歩圏の中古マンション・戸建ては需要が旺盛。
- 長尾・藤阪・津田エリア:JR学研都市線沿線で、落ち着いた住環境と手頃な価格が魅力。近年は再開発も進み、若年層の購入希望者が増加中。
- 香里ケ丘・招提南町エリア:閑静な住宅街として人気が高く、リノベーション用の戸建てや土地需要が安定。
このように、枚方市では「駅徒歩圏」「商業施設の近さ」「学区」「生活利便性」が価格を左右する大きな要素です。特に“再建築可能な土地”や“リフォーム可能な空き家”は、再利用価値が高く高値売却のチャンスがあります。
空き家の用途・売り方を見極める
同じ空き家でも、売り方によって価格は大きく変わります。代表的な活用・売却パターンは次の3つです。
| 売却方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| ① 現状のまま売却 | 手間とコストがかからず早期売却が可能 | 建物の状態によっては価格が下がりやすい |
| ② リフォームして販売 | 見た目の印象が良く、高値で売れる可能性 | リフォーム費用がかかり、投資回収が難しい場合も |
| ③ 更地にして土地として売却 | 老朽化物件よりも需要が高まりやすい | 解体費用が発生する(ただし補助金活用可) |
特に、枚方市では「築40年以上」「再建築可」の空き家は、解体して更地にすることで新築需要が見込めます。駅近や商業施設付近であれば、分譲用地としても買い手がつきやすいです。
一方、リフォームして再販売する場合は、古い家を“再生住宅”として打ち出すのがポイントです。耐震改修や水回りの入れ替えなど、購入者が安心して住める状態に整えれば、査定額が20〜30%上がるケースもあります。
戦略②:空き家の印象を最大化する“見せ方”戦略

空き家を高く売るためには、「第一印象の良さ」が極めて重要です。インターネットでの物件探しが主流となった現在、写真1枚で印象が大きく変わります。購入希望者が“内見したい”と思うかどうかは、掲載写真と現地の清潔感によって決まるといっても過言ではありません。
1. 残置物の撤去・清掃・整理
家具や家電、雑貨などが残っている「生活感の強い空き家」は、買主に「片付けが大変そう」というマイナス印象を与えます。プロの片付け業者に依頼して残置物を撤去し、床や壁、窓の汚れを落とすだけでも印象は劇的に変わります。
費用の目安は1軒あたり10〜20万円ほどですが、査定価格が20〜50万円上がるケースもあるため、費用対効果は高いといえます。
2. 写真撮影のポイント
不動産ポータルサイトで反響を増やすには、「写真の明るさ」「構図」「撮影タイミング」が鍵です。枚方市では築古物件が多いため、古さをカバーする工夫が求められます。
- 日中の自然光が入る時間帯に撮影する
- 広角レンズを使用して部屋を広く見せる
- 玄関・リビング・水回りは特に明るく整理整頓
- 外観は晴れの日に撮影し、緑や青空を背景に
最近では、AI補正やドローン撮影、バーチャルホームステージング(CG家具設置)を活用して印象を高める不動産会社も増えています。
3. 外観・庭まわりの整備
雑草や伸びきった庭木は「管理が行き届いていない」と感じさせます。庭木の剪定や外壁の簡易清掃を行うだけでも“放置感”をなくし、内見者の印象が良くなります。特に枚方市の郊外エリア(津田・長尾など)は敷地が広い分、外観の印象が査定額に影響しやすい傾向があります。
4. リフォーム or 現状売りの判断基準
リフォームは「やったほうが高く売れる」と思われがちですが、すべての空き家に当てはまるわけではありません。むしろ、費用をかけすぎることで利益が減るケースもあります。
| リフォーム内容 | 平均費用 | 査定アップ率(目安) | 費用回収率 |
|---|---|---|---|
| 水回り(キッチン・浴室・トイレ)交換 | 150〜250万円 | +10〜20% | 約60〜80% |
| 外壁・屋根の塗装 | 80〜120万円 | +5〜10% | 約50〜70% |
| 内装クロス・床リフォーム | 30〜60万円 | +3〜5% | 約70〜90% |
上記のように「見た目の改善(クロス・床など)」はコストパフォーマンスが高く、全面リフォームよりも効果的です。特に駅近や人気学区の物件では、購入者が“リノベ前提”で探していることも多いため、現状販売でも十分に売れるケースもあります。
そのため、「どの範囲を直すか」を判断するには、事前に不動産会社へ査定依頼を行い、「この状態ならいくら上がるか」を具体的にシミュレーションしてもらうのがポイントです。
枚方市では、無料査定時に「リフォーム前後の比較査定」を提示してくれる会社もあり、売主の予算と目的に合った最適な提案を受けられます。
戦略③:制度活用と地元不動産会社の連携で付加価値をつける

空き家の売却で意外と見落とされがちなのが、「行政や国の制度をうまく活用する」ことです。補助金や特例を使えば、解体費やリフォーム費を抑えながら資産価値を上げられる場合があります。ここでは、枚方市で実際に利用できる代表的な制度を紹介します。
枚方市で使える主な補助金・制度
- 若者世代空き家活用補助制度
枚方市内の空き家を若者世代(40歳未満)が改修・購入する場合、最大100万円の補助を受けられる制度。売却前にこの制度を活用することで、購入者側の負担が減り、結果的に売れやすくなるケースもあります。
→ 枚方市公式サイトで詳しく見る - 地域空き家活用補助制度
築15年以上の空き家をリフォームや耐震改修して活用する場合、費用の一部が補助されます。老朽化した住宅を「再生住宅」として販売する際に有効で、リフォーム費用の上限は100万円程度。
→ 制度詳細はこちら - 住宅の除却(解体)工事補助制度
老朽化や倒壊の恐れがある空き家を解体する場合、1㎡あたり1万円(上限20万円)の補助が受けられます。更地にして売ることで地価評価が上がる場合も多く、解体を検討している方には特におすすめです。
→ 解体補助の詳細 - 空き家の譲渡所得3,000万円特別控除
一定条件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円が控除される特例。相続で取得した家屋などが対象で、税負担を大幅に減らせるチャンスです。
→ 国税庁・市HPで詳細を確認
このように、補助金・特例を併用すれば「リフォーム+売却」「解体+売却」どちらの方向でも資金負担を軽くできます。制度は年度ごとに内容が変わるため、最新情報は枚方市の公式HPや、不動産会社を通じて確認しておきましょう。
地元不動産会社を活用する理由
空き家を高く売るもう一つのポイントは、「地域を熟知した不動産会社に依頼すること」です。全国チェーンの大手でも対応可能ですが、枚方市のようにエリア特性が細かく分かれる地域では、地元業者の方が販売力を発揮しやすい傾向にあります。
たとえば、「香里ケ丘はリフォーム需要が強い」「津田駅は土地で探している買主が多い」など、地元ならではの市場感覚を持つ業者は、売却の方向性を明確にしてくれます。
仲介と買取の使い分け
空き家の売却には、「仲介」と「買取」という2つの方法があります。それぞれの特徴を理解して選択することが、後悔しない売却につながります。
| 売却方法 | 特徴 | おすすめのケース |
|---|---|---|
| 仲介 | 市場に公開して買主を募集。時間をかけて高値を狙える。 | 立地や状態が良く、需要がある物件 |
| 買取 | 不動産会社が直接購入。即現金化でき、手間が少ない。 | 老朽化が進んでいる・早く売りたい物件 |
枚方市では、買取保証制度を導入している不動産会社もあります。一定期間内に仲介で売れなかった場合、あらかじめ提示された金額で買取を行う仕組みです。これにより、売却価格の下振れリスクを抑えつつ、安心して販売活動を進められます。
まとめ:準備と制度知識で「高く売る」基盤をつくる

空き家を高く売るための鍵は、次の3つに集約されます。
- ① エリア特性と需要を正しく把握すること
- ② 印象を高める「見せ方」戦略を実践すること
- ③ 制度と地元不動産会社を上手に活用すること
これらを組み合わせることで、同じ物件でも査定額や売却スピードが大きく変わります。特に、補助金や特例制度を知っているかどうかが、最終的な利益を左右します。
枚方市を中心に活動するハウスドゥ 京阪くずは店では、地域密着の視点から最適な売却戦略をご提案しています。空き家の整理・査定・買取・税金の相談まで一括で対応可能です。
「相続した家をどうすべきかわからない」「古くても売れるのか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。




