相続前・相続後どっちが得?まずは全体像から
こんにちは、ハウスドゥ 京阪くずは店です。今回は「実家を売るなら相続前・相続後どちらが得か?」を、税金と手続きの観点から解説します。
「親が元気なうちに名義を移して売ったほうが良いの?」「相続してから売ったほうが税金は安い?」——こうしたご相談を、枚方市を中心に本当に多くいただきます。結論はご家族の事情・資金ニーズ・税制適用の可否によってベストが変わります。
本記事では、まず不動産売却に必須の譲渡所得税の基本を押さえ、そのうえで相続前に売る場合と相続後に売る場合の違いをメリット/デメリット・使える特例・費用構造で比較。最後に、家族の事情別の選び方とトラブル防止の実務ポイントをまとめます。
読み終える頃には「自分のケースではどちらが有利か」「今なにを準備すべきか」が具体的に見えてくるはずです。なお、本記事は一般的な解説です。最終判断は税理士・司法書士等の専門家と最新制度を確認のうえで行いましょう。
第1章:不動産売却にかかる税金の基本
不動産を売ると、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。譲渡所得税(所得税+住民税)が発生し、さらに復興特別所得税が加算されます。まずは「何にいくら課税されるのか」を正しく理解しましょう。
1-1 譲渡所得の計算式
課税対象は「利益(=譲渡所得)」です。計算式は次のとおり。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
・取得費:購入代金、建築費、購入時の仲介手数料・登記費用、増改築費など(領収書等で立証)
・譲渡費用:売却時の仲介手数料、測量費、解体費、印紙税など
購入時の領収書がない場合は「概算取得費(売却価格の5%)」で計算されることがあり、手元資料の有無で税額が大きく変わる点に注意です。
1-2 税率は「所有期間」で激変
同じ利益でも、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わります(所有期間は売却年1月1日現在で判定)。
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):所得税30%+住民税9%=合計39%(+復興特別所得税)
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):所得税15%+住民税5%=合計20%(+復興特別所得税)
つまり、長期か短期かで倍近い差が生まれることも。売却タイミングの設計に直結します。
1-3 自宅売却に使える特例の存在
マイホーム(居住用財産)の売却には、税負担を軽くする代表的な特例があります。
- 3,000万円特別控除:譲渡所得から最大3,000万円を控除
- 軽減税率の特例:所有期間10年超などで税率がさらに軽減されるケースあり
- 買換え・交換の特例:一定の要件で課税繰延べ など
ただし適用には居住実態・期間・新旧住宅の要件など細かな条件があるため、自宅として使っていたか/いつまで居住かを正確に整理することが重要です。
1-4 相続と絡む場合のキーワード
相続が絡むと、さらに次のキーワードが重要になります。
- 取得費加算の特例:相続税を納めた場合、一定額を取得費に加算できる
- 相続空き家の3,000万円控除:要件を満たす「空き家」売却に大きな控除
- 相続登記の義務化:未登記は売却の停滞・トラブル要因に
この土台知識を踏まえ、次章から「相続前に売る」「相続後に売る」を比較していきます。
第2章:相続前に売るケース
ここでは「親が存命中に実家を売却するケース」について解説します。親自身が売却主体となる場合と、親から子に名義変更したうえで売却する場合の両方を視野に入れます。
2-1 メリット
- 資金をすぐ活用できる:売却代金を即座に生活費・医療費・介護費用などに充てられる。施設入居資金の確保など、現実的メリットが大きい。
- 相続トラブルを回避:親が意思決定者となるため「誰が相続するのか」「売るか残すか」で子ども同士が揉めるリスクを減らせる。
- 不動産管理から解放される:老朽化物件や維持管理に手間のかかる実家を早めに手放すことで、空き家リスクを回避できる。
2-2 デメリット
- 譲渡所得税の負担:売却益は親の所得に計上され、譲渡所得税が課される。特に所有期間5年以下なら39%近い税率で重税。
- 贈与税リスク:売却前に親→子へ名義変更した場合、贈与税が発生。評価額によっては数百万円規模の税負担となり得る。
- 非課税特例の対象外となるケース:空き家の3,000万円特別控除などは「相続空き家」が条件。生前売却では適用不可。
2-3 枚方市で実際に多い相談例
枚方市でも「親の介護費用を準備するために実家を売りたい」という相談が多く寄せられます。この場合、売却資金を速やかに確保できるため安心ですが、同時に譲渡所得税のシミュレーションが不可欠です。例えば購入時価格・所有年数・必要経費を整理してから売却することで、「手元に残る正味額」を把握できます。
2-4 ポイント
- 相続トラブルを回避したい・資金がすぐ必要 → 生前売却が合理的
- 税制優遇や控除を最大限活かしたい → 相続後売却も要検討
相続前売却はスピードと安心感が魅力ですが、税負担増のリスクがあるため「手残り額」を必ず確認して判断しましょう。
第3章:相続後に売るケース
次に「親の相続発生後に不動産を取得し、その後売却するケース」です。税制優遇や特例を活かしやすく、制度を理解すれば有利に進められます。
3-1 メリット
- 取得費加算の特例:相続税を支払った場合、その一部を取得費に加算でき、課税対象額を圧縮できる。
- 空き家の3,000万円特別控除:要件を満たす相続空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円控除。枚方市でも築古一戸建ての相続時に利用されやすい。
- 現金化して分配可能:複数相続人がいる場合、不動産を共有せず現金で分けられるため公平性を担保できる。
3-2 デメリット
- 売却までに時間がかかる:相続登記や相続税申告などの手続きが必要で、すぐ売却できない。
- 相続人全員の同意が必要:一人でも反対すると売却不可。兄弟姉妹間で調整が必要。
- 相続税の納税資金を先に用意する必要:申告期限(10か月以内)までに現金納税が必要。売却が間に合わなければ自己資金で支払う必要がある。
3-3 枚方市での実例
「実家を相続したが空き家のまま維持費が負担なので売却したい」というケースでは、空き家特例が適用されるかどうかで税額が大きく変わります。また「兄弟で相続したが誰も住まないため売却して現金で分けたい」という相談も多数あり、この場合は司法書士+不動産会社の連携が必須です。
3-4 ポイント
- 税制優遇を活用できれば大幅節税も可能
- ただし手続きが煩雑で、時間と家族間調整が必要
相続後の売却は節税効果と公平な分配に強みがあります。制度の適用可否を専門家に確認することが重要です。
第4章:相続前後の費用比較
ここまで「相続前に売る場合」「相続後に売る場合」の特徴を解説してきました。では実際に、どのくらい費用や税金が変わるのか、具体的なシミュレーションを通じて比較してみましょう。ここでは、枚方市で評価額2,500万円の実家を売却するケースを想定します。
4-1 相続前に売却する場合
親が存命中に売却する場合、課税対象は譲渡所得税です。たとえば購入価格が1,500万円、取得時の諸経費が200万円とすると、譲渡所得は以下の通りです。
2,500万円 −(1,500万円+200万円)=800万円
この800万円に税率がかかります。所有期間が5年を超えていれば長期譲渡(20%課税)で約160万円の税額。一方で5年以内なら短期譲渡(39%課税)で約312万円と、2倍近い差になります。
4-2 相続後に売却する場合
相続後は「取得費加算の特例」や「空き家3,000万円特別控除」を使える可能性があります。たとえば相続税200万円を納付した場合、その分を取得費に加算できるので、譲渡所得は以下の通りです。
2,500万円 −(1,500万円+200万円+200万円)=600万円
税率20%をかけると、税額は約120万円。相続前の売却と比べ、40万円も負担が軽くなります。さらに「空き家特例」を満たせば600万円全額が控除され、課税ゼロとなる可能性もあります。
4-3 その他の費用
売却時の仲介手数料や印紙税はどちらの場合も共通ですが、相続後は相続登記が必要です。登録免許税(評価額の0.4%)や司法書士報酬(5〜15万円程度)が追加でかかります。ただしこれらを差し引いても、特例を活用できる分、相続後売却の方が総合的に節税効果が大きい傾向にあります。
4-4 費用比較まとめ
- 相続前売却: 譲渡所得税が大きな負担。短期所有なら特に税率が高い。
- 相続後売却: 特例による節税効果が大きい。ただし登記費用や家族調整が必要。
この比較から分かるように、「税金面だけを見れば相続後売却の方が有利」になるケースが多いです。ただし実際には資金需要や家族事情が絡むため、総合的に判断することが大切です。
第5章:家族の事情で変わる選択
相続前と相続後、どちらが得かは税金や制度だけでは決まりません。実際には「家族の事情」によって、最適な選択肢は変わってきます。
5-1 介護資金が必要な場合
親が高齢で介護施設への入居費用や医療費が今すぐ必要な場合、相続前売却が現実的です。売却代金を速やかに現金化できることで、安心して生活を続けられます。
5-2 相続人が複数いる場合
兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合は、相続後に売却し現金化する方が公平性が高いです。不動産をそのまま相続すると「誰が住むのか」「誰が管理するのか」でトラブルが生じやすいため、売却で分配する方が合理的です。
5-3 相続税を節税したい場合
相続税が発生する資産規模なら、相続後に売却して「取得費加算」や「空き家特例」を活用する方が圧倒的に有利です。逆に相続税がかからないケースなら、相続前に売却して資金を活用する選択肢もあります。
5-4 生前贈与を検討するケース
「親から子へ名義を移して子の名義で売却すればいいのでは?」と考える方もいますが、これは贈与税リスクが非常に大きいため注意が必要です。贈与税は相続税より税率が高く、結果的に負担が増えることが多いです。
5-5 選択肢を決める基準
- 介護資金が急務 → 相続前売却
- 公平な分配が必要 → 相続後売却
- 節税重視 → 相続後売却で特例活用
つまり、どちらが得かは「税制」だけでなく「家族事情」や「資金ニーズ」に大きく左右されるのです。
第6章:トラブルを避けるための注意点
不動産売却は金額が大きく、相続が絡む場合には特にトラブルが発生しやすいのが現実です。ここでは、実際によくあるトラブルと、それを避けるためのポイントを解説します。
6-1 相続人間の合意形成
相続後に売却する場合は、すべての相続人の同意が必要です。兄弟姉妹の中に「住み続けたい人」と「売りたい人」が混在すると話し合いが長引き、売却が進まないこともあります。遺言書を作成しておく、あるいは親が元気なうちに意思を示しておくことで将来の争いを防ぐことができます。
6-2 名義や権利関係の整理不足
相続登記をしないまま放置すると、時間が経つほど権利関係が複雑化します。孫や甥姪まで相続権が及ぶ事態になると、売却に関わる人数が増えて調整が困難になります。2024年から相続登記は義務化されたため、早めの対応が必須です。
6-3 税金の申告漏れ
譲渡所得税や相続税の申告漏れは大きなペナルティにつながります。特例を受ける場合も、必要書類が揃っていなければ控除を受けられず、余分な税金を支払う羽目になります。たとえば「空き家の3,000万円控除」を使うには、耐震改修や取り壊しなどの条件を満たし、証明書類を揃える必要があります。
6-4 専門家への相談不足
登記や税務の知識不足による失敗も多く見られます。司法書士や税理士への相談を避け、自己判断で進めると、後から修正が難しくなることがあります。枚方市や近隣地域では、不動産会社・税理士・司法書士が連携してサポートする事例が増えており、このチーム体制で進めることでトラブルを未然に防ぐことができます。
6-5 トラブルを防ぐためのチェックリスト
- 相続人全員で事前に話し合いをしているか?
- 相続登記を済ませ、権利関係を明確にしているか?
- 税金や控除の仕組みを理解し、申告漏れを防げているか?
- 不安な部分は司法書士・税理士など専門家に相談しているか?
これらを確認するだけでも、将来的なトラブルを大きく減らすことができます。
第7章:枚方市で売却を成功させるためのポイント
最後に、枚方市で不動産売却を成功させるための実践的なポイントを整理します。税金や制度の知識に加え、地元ならではの事情を理解することがカギとなります。
7-1 エリア特性を理解する
枚方市では京阪沿線の駅近物件、特に樟葉駅や枚方市駅周辺のマンションや戸建は需要が高く、相場も安定しています。一方で郊外の築古物件やバス便エリアでも、リフォーム提案や「現状買取」という選択肢を取ることで十分売却可能です。
7-2 売却のタイミングを工夫する
不動産市場は春と秋に動きが活発になる傾向があります。このタイミングで売り出すことで、内覧数が増え成約率も高まります。逆に、閑散期に売り出すと価格交渉で不利になりやすいため、時期を見極めることが重要です。
7-3 適正な価格設定
価格を高く設定しすぎると長期間売れ残り、逆に安く設定すると本来得られる利益を逃してしまいます。枚方市内の取引事例や査定データをもとに、根拠のある価格設定を行うことが成功への第一歩です。
7-4 信頼できる不動産会社に相談する
地元の市場や成約事例に詳しい会社は、相場に沿った戦略を提案してくれます。例えば、ハウスドゥ 京阪くずは店では、査定から契約・税金相談までワンストップで対応できるため、安心して売却を進められるのが特徴です。
不動産売却を成功させるには「税金の知識」「市場の理解」「信頼できるパートナー」が欠かせません。これらを組み合わせることで、安心して実家売却を進めることができます。
まとめ
ここまで「相続前に売る場合」と「相続後に売る場合」の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説してきました。
相続前に売るメリットは、資金をすぐに活用できることや、相続トラブルを避けられることです。一方で、税率が高くなる可能性や贈与税リスクがデメリットになります。
相続後に売るメリットは、取得費加算や空き家の3,000万円控除などの特例を活用できる点です。ただし、相続人間の合意形成や手続きに時間がかかる点には注意が必要です。
つまり「どちらが得か」は一概に言えず、家族の事情・資金の必要性・税金の仕組みを踏まえて判断する必要があります。大切なのは、制度を正しく理解し、家族で話し合い、信頼できる専門家に相談して進めることです。
さいごに
ハウスドゥ 京阪くずは店では、枚方市や周辺地域の不動産売却を、相続前後どちらのケースでも丁寧にサポートしています。税理士や司法書士とも連携し、「売却後に実際どれくらい手元に残るのか」をシミュレーションできるので安心です。
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