相続した空き家はどのタイミングで売るのがおすすめ?
親の家を相続したものの、「いつ売るのが正解?」「急いで売るべきなの?」と悩む方はとても多いです。
相続した空き家は、売るタイミングを間違えると、固定資産税の負担や老朽化による価格下落など、大きな損につながることがあります。
逆に、タイミングを正しくつかめば、節税メリットを最大活用し、より高く・よりスムーズに売却することができます。
この記事では、相続空き家のベストタイミングを「実務」と「節税」両面からわかりやすく解説します。
1. 相続した空き家は“いつ売るか”で損益が大きく変わる

相続した家は「売らずに置いておくだけ」で損をしてしまうことがあります。
空き家は持っているだけで費用が発生し、さらに管理の手間も必要です。
① 空き家は持っているだけでお金が減る資産
空き家を保有するだけで、次のような費用がかかります。
- 固定資産税(年間10〜20万円)
- 都市計画税
- 管理費(草刈り・清掃・通水など)
- 火災保険(空き家特約)
年間で15〜25万円ほどかかるケースも多く、何年も放置すると50万円、100万円と負担が積み重なります。
② 老朽化が進むほど売却価格が下がる
空き家は人が住まなくなると傷みが早く、
通常の2〜3倍のスピードで劣化が進むといわれます。
特に影響が大きいのは次のポイントです。
- 外壁の劣化・雨漏り
- 床の沈み・湿気によるカビ
- シロアリ被害
- 設備の故障
半年〜1年放置しただけで状態が大きく悪化することもあり、結果的に「解体費込み」での査定になり、価格が大きく下がります。
③ 管理負担・トラブルが時間とともに増える
空き家を長期間置いておくと、次のようなトラブルリスクも上がります。
- 草木の繁茂による近隣クレーム
- 害獣・害虫の発生
- ゴミの不法投棄
- 空き巣・放火のリスク
特に相続直後は忙しく、「落ち着いたら考えよう」と後回しにしてしまう人が多いですが、時間が経つほど問題は増えます。
2. 空き家を“早めに売るべき”3つの理由

相続した空き家を早めに売却したほうがいいと言われる理由は、大きく三つあります。
① 固定資産税や管理費のムダを減らせる
空き家を持っているだけで発生する費用は、売ることでゼロになります。
売却まで1年遅れるだけで、15〜25万円の出費が増える計算です。
② 建物の老朽化を防ぎ、価格下落を抑えられる
傷みやカビが広がると、売却時に「解体前提」と判断され、価格が下がります。
早く売れば売るほど、“建物の価値が残っている状態”で売却できます。
③ 相続人同士の話し合いがまとまりやすい
相続直後は、相続人の人数や関係性も把握しやすく、意思決定がスムーズです。
これを先延ばしすると、
- 相続人が亡くなり、さらに人数が増える
- 意思統一が難しくなる
- 売却に全員の同意が必要で、話し合いが複雑化
といった問題が起きやすくなります。
このように、「時間をかけるほど損する」のが相続空き家の特徴です。
3. ベストタイミング①|相続後すぐ〜1年以内がもっともおすすめ

相続した空き家を売るベストタイミングは、
「相続後すぐ〜1年以内」です。
理由はシンプルで、建物の状態・相続人同士の意思決定・税金対策の面で最もメリットが大きい時期だからです。
① 建物の状態が最も良い時期に売れる
空き家は誰も住まないことで傷みが急速に進みますが、
相続後すぐの時点では、まだ劣化が最小限です。
湿気・カビ・設備の故障などが起きる前に売ることで、買主の印象も良く、価格が下がりにくくなります。
② 相続人の意見調整がしやすい
相続直後は、まだ相続人の状況を把握しやすく、
全員が売却について前向きに考えやすいため、スムーズに意思決定できます。
これを3年、5年と先延ばしにすると、
- 相続人が増える(再相続)
- 連絡が取れない相続人が出てくる
- 感情面で意見がまとまらない
など、売却が困難になるケースが非常に多いです。
③ 荷物がそのままでも売却できるケースが多い
相続直後の空き家は、家具や荷物がそのまま残っていることが多いですが、
最近では「残置物そのまま買取」に対応する会社が増えています。
片付けに手間をかける必要がなく、
“何も触らずに売れる”のは相続直後の大きなメリットです。
④ 人の動きが活発な季節は売れやすい
枚方市の不動産市場では、次の季節に動きが活発になります。
- 2〜3月:新生活の需要が増える
- 6〜8月:引っ越しがしやすい夏シーズン
このタイミングに売り出せると、より高値で売れる可能性があります。
4. ベストタイミング②|“空き家の3,000万円特別控除”が使える時期

相続した空き家を売る際に絶対に知っておくべき制度が、
「空き家の3,000万円特別控除」です。
この制度を使えるかどうかで、
手取り金額が数百万円変わることも珍しくありません。
① 空き家特例とは?(簡単に)
次の条件を満たすと、売却時の譲渡所得から最大3,000万円控除が受けられます。
- 相続した実家で、被相続人(親など)が1人で住んでいた
- 相続後に誰も住んでいない
- 昭和56年5月31日以前の建物(旧耐震)
- 売却価格が1億円以下
※制度の細かい条件は省略し、ここでは「使えると大きく得」「売るタイミングが重要」という点に絞って説明します。
② 特例を使える“売却タイミング”が決まっている
この制度は、
相続してから一定期間内に売る必要があるというルールがあります。
期間を過ぎると適用できず、結果的に大きな節税チャンスを逃してしまいます。
③ 特例が使えるかどうかで“手取り額の差”が大きい
例えば、売却益が800万円出る場合:
- 特例なし → 税金 約160万円
- 特例あり → 税金 0円
このように、制度を活用するだけで100〜200万円以上の差が出ることが多いのです。
④ 迷っているなら「特例が使えるうちに売る」が鉄則
「まだ使い道を考えている」
「売るかどうか決められない」
そんな場合でも、まずは査定で「特例が適用できるかどうか」を確認するのがおすすめです。
適用できるなら、できるだけ早く動くほうが確実に得です。
5. ベストタイミング③|相続登記が終わったタイミング
相続した空き家を売るには、
「相続登記」= 名義変更 を行っておく必要があります。
2024年から相続登記は義務化され、
相続を知った日から3年以内に登記しないと罰則の対象になる可能性があります。
① 相続登記が済んでいない家は売れない
家の名義が亡くなった親のままでは、売却手続きができません。
不動産を売るには、必ず現在の所有者が署名・押印する必要があるためです。
つまり、相続登記が済んでいない家は、
「売りたくても売れない状態」
といえます。
② 登記が完了したら“いつでも売れる状態”になる
相続登記が済むと、家の名義が相続人に移り、売却の準備が整います。
この段階が「売りやすいベストタイミング」のひとつです。
特に、
- 兄弟で共有している場合
- 遺産分割協議をこれから行う場合
は、早めに登記を完了させておくことで、スムーズに売却に進めます。
③ 共有のまま放置すると売却がどんどん難しくなる
相続登記を先延ばしにすると、次のような問題が起こりやすくなります。
- 相続人がさらに亡くなり、相続人が増える(再相続)
- 全員の同意が必要で話し合いが複雑化
- 連絡が取れない相続人が出て売却できない
最悪の場合、裁判所の手続き(共有物分割請求)が必要になることも。
相続登記は「早ければ早いほど得」です。
6. 売り時を逃すとどうなる?放置で起きる5つのデメリット

空き家を「とりあえず放置」してしまう人はとても多いですが、
実はこの選択こそ、最も損をする可能性があります。
放置することで起きる主なデメリットを整理します。
① 固定資産税・管理費が累積する
空き家を数年間放置すると、固定資産税・火災保険・庭木管理・通風・清掃など、
年間15〜25万円の負担が続きます。
3年放置 → 45〜75万円
5年放置 → 75〜125万円
売却を後回しにすればするほど負担が増えていきます。
② 建物が急速に傷み、売却価格が下がる
空き家は「人が住まないだけ」で劣化が進みます。
半年〜1年でカビ・雨漏り・シロアリ被害などが発生するケースもあります。
結果、買主から「解体前提」と見られ、土地価値から解体費を差し引かれ、
100〜200万円以上の値下げが必要になることも。
③ 特定空家に指定されるリスク
草木の放置・外壁の劣化・倒壊の危険性などがあると、
市役所から「特定空家」に指定されるケースがあります。
特定空家になると、
- 固定資産税の軽減措置が外れて“税金6倍”
- 行政代執行で解体され費用を請求されることも
④ 近隣トラブルの原因になる
空き家を放置すると、隣家へ草木が越境したり、害虫・害獣の発生で迷惑をかけることがあります。
近隣からの苦情が続くと、精神的負担も大きくなります。
⑤ 相続人がさらに増え、売却が困難になる
売却を後回しにすると、相続人が亡くなりその子どもに権利が移る「再相続」が発生し、
相続人が5人から8人、10人…と増えていきます。
こうなると、
- 全員の同意が必要で話が進まない
- 連絡すら取れない相続人が出てくる
結果、売却までに何年もかかるケースもあります。
7. 「今すぐ売るべき人」と「準備してから売る人」の判断基準

相続した空き家は、すべての人が「今すぐ売るべき」というわけではありません。
状況によって、すぐに売った方がいい人と、準備をしてから売った方が良い人がいます。
【今すぐ売るべき人】
次の項目に1つでも当てはまる場合は、早期売却をおすすめします。
- 空き家管理ができない(遠方・高齢など)
- 維持費が負担になっている
- 家の劣化が進んでいる(雨漏り・シロアリ・傾きなど)
- 残置物が大量にあり片付けができない
- 空き家の3,000万円特別控除が使える状態
- 相続人間で「売る」方向で一致している
特に、築古×劣化が始まっている物件は、
時間が経てば経つほど売却価格が下がるため、早期売却が正解です。
【準備してから売るべき人】
次のようなケースでは、まず準備を整えてから売却に進むことで、より高く・スムーズに売れます。
- 相続登記がまだ終わっていない
- 兄弟間で意見調整が必要
- 軽い片付け・清掃で印象が良くなる状態
- 相続税申告の状況を確認してから売りたい
特に相続登記が終わっていない場合は、まず名義を変えておくことで売却の準備が整い、
トラブルも避けやすくなります。
8. まとめ:相続した空き家は“早く動くほど得”。最初の一歩は「価値を知ること」

相続した空き家は、売るタイミングによって、手取り額やトラブルの大きさが大きく変わります。
【売却タイミングの結論】
- ベストは「相続後すぐ〜1年以内」
- 空き家特例(3,000万円控除)が使える時期なら優先して売るべき
- 相続登記が完了したら、いつでも売れる状態になる
これらを逃すと、
- 年間15〜25万円の維持費負担
- 老朽化による価格下落
- 特定空家リスク(固定資産税6倍)
- 相続人が増えて売れなくなる
など、大きなデメリットが発生します。
まずやるべきことは「価値を知る」こと
空き家を売るかどうかは、「査定して価値を知ってから」決めても遅くありません。
査定は無料で、売らなくても問題ありません。
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